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2024.08.27

釣り・ウキ

水中ウキがあると流すのが楽になったように錯覚する


「水中ウキが主役になり、刺し餌は脇役になる」


〇水中ウキが主役になる
刺し餌にウキを引っ張らせるには、ウキのほかにもう一つ、注意事項がある。
刺し餌とウキの間に、それを妨害するものがあってはならないということだ。
オキアミにとっては、鈎1本でも大きな負担になる。
それが、いくら水圧がかかっているとはいえ、健気にも鈎からハリス、ビシ、ウキ、さらには道糸まで引っ張っているのだ。
それを妨げようとするものがあれば、即座に排除しなければならない。
その最たるものが水中ウキになる。
それはそうだろう、水中ウキはオキアミやビシよりはるかに体積が大きい
水圧もかかるし、流れの抵抗を大きく受ける。
必然的に、これが主役になる。 ウキも刺し餌も脇役でしかない。
すると、撒いたオキアミと同じところには流れにくい
絶対に流れないというわけではない。
「なぜ水中ウキが流行ったか知っとるか?
あれがあると、流すのが楽になるように感じるんや。
楽になるんやない。錯覚するだけや」

確かに、松田の言うように、水中ウキがグングン引っ張ってくれると、非常に安心する。 それだけで、釣れそうな気にもなる。
しかし、引っ張ってゆく先に撒き餌がないのでは、なんの足しにもならない。

〇松田が水中ウキを作った
徳島で水中ウキに先鞭をつけたのは、ほかならぬ松田だった。
まだ赤アミの時代だった。
なぜ松田が水中ウキを思いついたか、その時の状況を復元してみよう。
牟岐大島のとある磯で、正面からトロ~ッと風が吹いていた。
潮はほとんど動いてない。 緩いにしても、向かい風があるとハケができる。
すると、そこがポイントになる。 ただし、浅い。
その沖はやや深く、グレはどうしても手前にやってこない。
どうやって撒いても、軽い赤アミはハケに乗って沖へ出る。
かたや、向かい風で、潮がほとんど動いてないからウキは手前に寄ってくる。
1ヒロ半のウキ下で放り込むと、グレが出てくるのが遅いから、食わないままで仕掛けは手前に寄ってくる。
これが横風なら計算して交差できる。 だが、向かい風では交差のしようがない。

松田はエサを撒いて、急いで高いところによじ登り、グレの動きを観察した。
仕掛けを遠めに投げて、そこに止めたらいいことが分かった。
そのためにはどうすればいいかを、磯の上で考えに考えた挙句、ウキ(割りウキ)をもう一つ追加した。
そして、ウキ下のちょうど真ん中に、2つ目のウキの浮力がゼロになるようにビシを打った。それが、松田の水中ウキの始まりだった。

※松田自身で作った水中ウキ

〇もう一つの欠点は屈折させること
実は、水中ウキにはもう一つ、重大な欠陥がある。
これもあとで触れることになるが、仕掛けを屈折させてしまうのだ。
「昔のようなアホ魚なら飲み込んでくれるやろうが、今は賢いから、水中ウキがあったらまず無理やな。尾長なんかは絶対無理や。クチブトはいけるときもあるけどな。」 松田はそう言うが、今でも、水中ウキを考案したのと同じ状況に出くわすことはある。そのときはどうするのか尋ねると、
「あのときはエサが赤アミやった。面積が小さすぎるから、ウキをよう止めなんだ。
それに比べたら、オキアミの面積はゴッツ広い。水中ウキは必要ない」

水中ウキの弁護の為に言うが、今でももちろん、水中ウキが本当に役立つケースはある。 特にビギナーのうちはそれが往々にしてある。
しかし、仕掛けを、魚が食うための理想の状態に少しでも近づける努力を続けない限り、進歩はない。
それが食わせるということなのだから。
いつまでも水中ウキに頼っていては、松田の言う努力は無駄にされてしまう。
撒き餌も同様だ。
計算して修正し、また計算して修正する。
そして、理想の状態に少しでも近づけていかなければならない。



ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より引用ー

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