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2024.08.26

釣り・ウキ

ウキが先やのうて、刺し餌がウキを引っ張るんや


「水圧を利用すればウキが刺し餌を引っ張らない」


〇今は刺し餌が優先する
松田がこう言った。
昔の釣りと、今の釣りと、これからの釣りは違うーと。
グレの習性が、昔と今とでは大幅に違っていることは、これまで繰り返し触れてきた。それに伴って、ウキもあるべき姿を変えようとしている。
昔のウキとは、単に浮くものであり、それが仕掛けと刺し餌を運べばよかった
極端な言い方をすれば、少々浮力が強くとも、バランスが狂っていても一向に構わなかった。
今はそれではいけない。
オキアミの魔力が薄れた現在は、刺し餌がウキを運ばないといけない
これが、松田の根本的な考え方になる。
仕掛けを張ることも、ハリスを斜めにすることも、底潮の動きを読むことも、さらには刺し餌の有無を知ることも、すべて、刺し餌がウキを運べばたやすくなる
そのためには、ウキと刺し餌が一体化していなければならない。
互いが独立してはいけないし、ましてやウキが主になってはいけない
したがって、刺し餌が浮きたくないのに、ウキが強引に浮いてはいけない。
刺し餌が右に流れたいのに、ウキが強引に真っ直ぐ流れてもいけないことになる。

〇なぜ刺し餌が引っ張るか
体積にしろ、表面積や重量にしても、一般にはオキアミよりウキのほうが数値は上回っている
ウキとオキアミが引っ張り合いをすれば、どう考えてもウキの方が勝つ。
なのに、松田は、オキアミにウキを引っ張らせるという
我ら凡人には理解できない。
神様の説明はこうなる。
刺し餌は、仕掛けの中で一番深いところを流れる
そのためオキアミに最も水圧がかかる。
この水圧は表面積に比例するから、面積の非常に小さいハリスやビシには少ししかかからない。
「これで分かったか」
松田にそう言われても、物理が好きでよく勉強した人なら理解できるかもしれないが、凡人にはまだチンプンカンプンだ。
更に噛み砕いて説明してもらうと、
「水圧というのはな、小人が抱きついとると考えたらエエんや。
上にも下にも引っ張らんが、その位置から動かそうとすると抵抗がかかる」

同じ大きさの水中ウキでも水深3mから引っ張り上げるのと水深10mから引っ張り上げるのとでは、格段に10mの方が力を必要とする。
これと同じ理屈になる。 こんな経験はないだろうか。
ウキ下竿1本半なら、仕掛けを巻き取るとき刺し餌の抵抗を感じる
なのに、ウキ下2ヒロでは、刺し餌の有無が非常にわかりにくい
これが水圧になる
実際はオキアミがウキを引っ張るのは水圧ではなく、オキアミが受けている潮の流れによる。しかし、ウキが勝手に好きな方向へ行こうとするのを引き止めているのは、オキアミが受けている水圧ということになる。

〇刺し餌に引っ張らせる方法は
原理が分かったところで、次は具体論に入る。
どうすれば、刺し餌にウキを引っ張らせることができるのだろう。
これはもうウキしかない。
ウキが全ての鍵を握っているといってもいいだろう
松田の言葉を借りれば、どんなときでもフラフラせず、ポコポコもせず、ポコリンもしない、そんなウキになる。
ここで勘違いをしないでほしい。
ビシを打って浮力を殺せば、どんなウキでも安定が良くなるのではない
ウキ単体で安定していなければならないのだ
理由はウキのバランスを説明するところに譲る。
ここではとにかくウキが1個で浮かんでいる状態でも、安定が良くなければならないことを知ってほしい。
そして松田は、そんなウキを目指した。
形から材質、塗料、ウキの内部、内蔵鉛の位置・・・・
あらゆるところを研究し、現在に行き着いた。
それでも、まだ不満はある。
重たい潮と軽い潮がある。海水の塩分濃度の違いもある。
それがあるから、どうしても、1個のウキのままでは安定性に欠ける。
調整鉛が不可欠なのだ
同じ海域でしか釣りをしないのならまだしも、全国各地を飛び回る松田にとって、海はあまりにも違いすぎる。
秋田の日本海、伊豆の海、八丈島、紀伊、能登、瀬戸内海、隠岐、そして四国、九州、海外と、松田のフィールドはますます広がっている。
そのすべての海で安定するウキは、不可能と思っていいのではないだろうか




ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より引用ー

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