2024.08.19
釣り講座
答えを出すために撒き餌に保険をかけるんや

「より楽に、一秒でも早くグレに食わすために」
〇グレが食ったら撒き餌を省く
撒き餌の保険とはどういうことかを、大まかに説明したところで、具体論に入ろう。図①のような状況だったとしよう。
右後方から左沖へ速い潮が走っている。
それが100m先でカーブしており、グレはそこでヒットする。
足元にはオセンを中心としたエサ盗りが多い。
こんなときは通常の攻め方をする。
(ただし、潮が速いと、松田は先に撒き餌を入れて、仕掛けはその後ろに投入する) ところが、表層から下層まで同じ流れ方をしているかどうかは分からない。
速く流れているのは表層だけかもしれないし、グレのタナまでは同じ流れ方をしているかもしれない。それを知る為に保険が必要になる。
足元にエサ盗り用の撒き餌をしたあと、Aに撒き餌を入れて、仕掛けはその5m後方(潮上)に投入する。これが、ピッタリ計算できたのだったら、保険は必要ない。
だから、撒き餌はAの1回だけでいい。
しかし、分からないから、その前のBと、後ろのCにも撒き餌をする。
それで、100m先のヒットポイントで食ったとしたら、今度は余分な撒き餌を省く。
Cを省いて、AとBにだけ撒き餌して食わなかったら、下の流れもかなり速いと判断する(仕掛けが撒き餌に追いつけなかったから) そこで、今度はBとCにだけ撒き餌をする。それで食ったらB、またはCを省く。
このようにして、最終的には1回だけに絞る。
これが松田のいう保険であって、最後には必ず答えを出す。〇潮が緩いときは仕掛けを囲む
図②は潮が緩いケースで、右へトローっと動いている。
こんなときは、仕掛けを投入したあとで、ウキの上のA、またはその少し後方のBに撒き餌を打つ。それで食わなければ、グレが少ないか、それとも餌が合ってないという2つの考え方ができる。 潮が緩いのだから、ウキ下がそんなに深くない限り、撒き餌と刺し餌を絶対合わせているはずだと判断できたなら、確実にグレの数が少ないといえる。 その場合、次は、仕掛けを囲むようにC、D、Eと撒き餌を打つ。
それで食うか食わないかを確かめる。
極端な場合は、仕掛けよりもずっと前方のFに撒き餌しないと合わないこともある。
それで食ったとしたら、やはりどこかを省いていく。
また、風が強くて仕掛けをコントロールできない時、Gだけで合わせる自信がなければ、 H、I にも撒き餌をする。
撒き餌が流れるコースと仕掛けが流れるコースを交差させることは前述したが、これも保険になる。 G、H、I の撒き餌で釣れたとすれば、やはり次はいずれかを省き、最後は1回に絞る。
〇保険をかけたやつを追いかける
「釣りは大方が保険やぞ」
前回ブログで、松田はこう言っている。
実際に磯に上がってみるまでは、エサ盗りが多いか少ないかはわからない。
もし多ければ、撒き餌が少ないとどうしようもない。
だから、たくさん持ってゆく。 エサ盗りが少なければ、使わずに持って帰ればいい。 これも保険になる。 エサ盗り用の保険もある。
オセンが多いときは、グレ用の撒き餌投入点へ先に撒き餌を打つ。これも保険になる。 刺し餌を守るための保険だ。当然、ウマズラから守るための保険もある。
このように、松田は、刺し餌を守るための保険、釣るための保険、10分したら効果が出る保険、30分したら効果のある保険と色々ある。
撒き餌の保険に関しては、松田の考え方としては、常に保険をかける。
不確定要素が多い中で、なおかつ松田は魚の動きをコントロールしようとする。
ここで食っている奴を、そっちやあっちで食わせようとする。
そのために保険をかけて、その保険をかけた奴を追いかける。
そして、答えを出し、こんなケースでこうしたいときは、ここに撒き餌をしたらいいという事実を次々に積み重ねてゆく。
神様の境地に達するには、道は遠く、険しい。
ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より引用ー